YTJプロ統括 船木勇佑
タイトル:You are the Magic! 『私はトリックを売っているのではなく 「私」を売っているのです。 私自身の「イメージ」を 売っているのです。』 Albert Goshman (アルバート・ゴッシュマン) というマジシャンの残した言葉です。 僕がパフォーマーとして デビューしたての頃の師匠は サーカスパフォーマーではなく 実はマジシャンでした。 僕はマジックが できるわけではありませんが マジシャンと一緒に イベントなどで演じていました。 パフォーマーとしての哲学も マジシャンからのものが多く、 マジシャンの考え方を多く学びました。 今回、関西のみでしたが JYDF最終予選と本選を見ました。 自分も年をとったなと自覚しつつ 若い人たちの演技を見るといつも 上のアルバート・ゴッシュマンの 言葉を思い出します。 みんなに紹介したいなと思って 僕からのWeekly Postとします。 自分自身が他人の目に どのように映っているのか? 他人に与える自分の印象が どのようなものなのか? などといったことについて みなさんはどれくらい考えていますか? 技を磨くことだけを気にして 自分自身を磨く、ということが できてない演者が実はほとんどです。 ゴッシュマンは、ナイトクラブで クローズアップマジックを披露する という仕事をしていました。 お客さんがたった4名 という夜がありました。 ゴッシュマンが最も 得意とするマジックには お客さん数名の協力が必要だったので たった4名ではできず、 仕方なく簡単なカードマジックや コインマジックだけを 見せたのだそうです。 ところが、その日のお客さんは 全演目をやった場合と 同じくらい感激っぷりだったようです。 ゴッシュッマンとしては、 この日は簡単な内容で お茶を濁した程度という 心苦しさがあったのに 拍手喝采を受けてしまって 戸惑いがあったと思います。 You are the Magic! (あなた自身がマジックです。) ゴッシュマンと同じナイトクラブで 一緒に働いていたジェイ・オースが ゴッシュマンに言った言葉です。 カードやコインを使うマジシャンは そこら中にいるのに なぜゴッシュマンが特別なのか? ゴッシュマンは苦労人で プロマジシャンになるまで数々の職を 転々としています。 その中でたくさんの人と出会う中、 どのように幸せそうに見えている人でも 何らかの悩みは抱えていると知りました。 プロマジシャンになったときも 見に来てくれている観客の顔を見たとき この人はどのような悩みがあるのかと 想像してみると、単なるお客さんではなく その人個人となって 共感と親しみをもって演技していました。 決して上品というわけではない キャラクターとも相まって お客さんにとっては きっと特別な時間だっただろうなと。 これは、お客さんが喜ぶのは マジックの内容そのものより ゴッシュマン自身に魅力を感じたから ショーに感激してくれた、ということ。 マジシャンが『幹』 演じるマジックは『枝葉』 誰がやっても拍手喝采になるような ルーティンは、どこにもありません。 どんな凄い技をやったとしても お客さんに与える印象は 全て『あなた』の中から出てきます。 これが"You are the Magic."です。 この言葉を覚えておくと きっといろいろなシーンで 役に立つと思います。