YTJプログループ スタッフ
プリック ティム
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心の開放
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皆様お疲れ様です。
今クールのレッスンでは、私自身が苦手としてきた「己の弱さを曝け出すこと」をとくに意識しています。
自分の弱い、格好悪いところを人前で見せられる為には勇気がもちろん必要です。
そして演技にあたっては、自分の事を理解する必要があります。
自分がどういうことが好きのか、どういうことが嫌いなのかなどの問いかけで始まり、
最終的には自分にとってはもっとも大切な事や、自分の人生を通しての目標や願望も見えてくると思います。
演技においては人間の様々な感情にアクセスし、
どの役を演じたとしても、その人の心情に共感し、
そして堀探りながらその人を自分なりに生かしていきます。
その中で美しい部分もあるでしょうけれど、汚い、弱々しい部分もあるに違いない。
演劇を見ている側としては役の美しい面ばかりを見せられても、大した関心を持たないでしょう。
弱い面こそが共感を寄せてくるもので、その人が頑張るから、応援したくなるような気持ちにさせたりするものなのではないでしょうか。
例としてハリー・ポッターを挙げます。(ネタバレ注意!)
両親をなくしたハリーが階段の下の部屋(倉庫)で寝て、従兄弟のダドリーにいじめられて、叔母さんと叔父さんに嫌われながら、不公平に育てられます。
物語の冒頭を読んでいる人が、こんなハリーが可哀想に思えませんか。
でも、それでも、なんと!ハリーが意外と優しくて、まともな主人公じゃありませんか!?
はい。このタイミングでやはりハリーの事に少しでも共感を持ったのではないでしょうか?
去年、私が参加したワークショップに一つのエクササイズがありました(リー・ストラースバグ流)。
そのエクササイズでは、ストレッチをして、リラックスした参加者一同が自分の辛いと感じた、めんどくさいと感じた事に反応し、その反応を飲み込まず、口に出して、喚いていました。
もし一般の方が、あの状況を耳にしたらきっと赤ちゃんがいると勘違いされた事でしょう。
話を「開放」に戻します。
舞台のための、心の開放は以下の順番がある様に思います。
1. ひとりでいる時、弱い自分を出せるようになる事。
→感情を感じる事 (例えば上記の喚くアクティビティを参照)
2. 人前で弱い自分を出せる様にする事。
→他人に見られても感情をあえて隠さない事
3. 弱い自分に勝とうとする葛藤を表現できる様になる事。
→気持ちを抑えて抑え続けるが、あるタイミングで抑えきれず感情がこぼれ出る。(あるいは爆発する)
上の事を達成する為には。。。
1. YTJメンバーが高学年であればある程感情を感じない人が多くなる印象があります。
リラックスして、そして真剣に物事に反応すればできるのではないかと思います。
2. 人前で自分を開放しない事が常識のようなものである為、難しいですが、周りにいる人に対する信頼が強ければ出来ると思います。
それが難しい場合、スタニスラフスキーの3つの注目の輪(直訳でごめんなさい)が有効なツールなのかもしれません。
→自分だけが光に照らされているイメージ
3. 気持ちを作った上で、その気持ちを必死に抑えようとする事。
実は人間が日々やっている事なのですが、かなり強い感情を抑えるのに物を使ったり、動く事が有効の様です。というより「人間の気持ちが不安定な時こそ、せかせかと動く傾向にある」とある有名な演技の先生が言った気がします。
もちろん弱い自分を出す事が、社会においては大抵の場合には望ましくない振る舞いだと認識していますが、是非レッスンで表現している時、舞台に立っている時は堂々と強い自分と弱い自分の両方を持ってきて欲しいなと思います。
以上になります。
読んで頂き有り難うございました。
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